【馬じぃの継続は非力なり】今年の漢字が「税」で、清水寺のお坊さんが勢いよく大書する映像を見て、「なんかピンとこないなあ。ほかにふさわしい漢字はなかったのかなあ」と感じたのは、馬じぃだけだろうか。漢検協会に寄せられた応募で最多だったそうだが、あまりにも内向きすぎるのではないかという思いである。
例えばソチ五輪男子フィギュアの羽生選手や、３人のノーベル物理学賞受賞の研究者を表す「金」。海洋国家日本が、漁業資源や領土問題など、さまざまな課題に直面している「海」などが思い浮かぶが、まあ前者はタイミングが悪く、後者は対象が複雑で焦点が絞りにくかったかなあ。消費税は最も身近なことだもんね。
その点、他国のことはわかりやすい。沈没する船から乗客を見殺しにして真っ先に船長が逃げ出したり、ナッツの出し方が悪いと、飛行機の出発を引き返させる姫副社長がのさばるような国には「卑」。相手国の領海、領空侵犯や海底資源強奪には強弁し、一方で国内では年間何万という暴動が起きているような無法的国家には「暴」。
まあ、来年は明るい漢字でいきたいものだ。地方創生が実を結ぶことを願って「創」など。もっともこれで安倍総理の株が上がり、「安」になってはゴマのすりすぎ。野党諸氏の反撃「奪」のお手並みも拝見したいところだ。
さて、コースが替わった２歳王者決定戦。トリッキーコースで立ち回りのうまさも要求された中山から、力どおりの決着になりやすい阪神になって、紛れは少なそうとはいうものの、今年は傑出馬不在で、上位混戦ムード、人気も読みにくい。
札幌王者のブライトエンブレム、オルフェーヴルの全弟で末脚の切れは鋭いアッシュゴールド、阪神千八を勝ち上がって２連勝中のクラリティスカイなどが上位人気を競いそうだが、馬じぃの軸馬は同じ２連勝中でも（２）ダノンプラチナ。先週のＪＦ勝ち馬ショウナンアデラ同様、ただ１頭のディープインパクト産駒で、騎手まで蛯名とあっては話がうますぎるようだし、派手さはないが、レースぶりがしぶといところが頼れる。あと、初戦で２歳女王を差し切ったハーツクライ産駒の（８）ナヴィオンにも色気。
■品川達夫（しながわ・たつお） 昭和４４（１９６９）年、夕刊フジ創刊と同時に競馬欄を手掛け、デスク兼記者・予想家として約２０年間紙面を汚す。その後、別のジャンルで新聞記者を務めながら競馬は続け、気がつけば「馬じぃ」に。
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